免税が2026年11月に「リファンド方式」へ。個人店が要否を決め、観光客に出す3つの表示

ルカム ジョスラン

ルカム ジョスラン

Utsubo代表 / Kokopon創業者

2026年6月18日·17分で読めます
免税が2026年11月に「リファンド方式」へ。個人店が要否を決め、観光客に出す3つの表示

2026年11月から、免税は「その場で引く」から「あとで返す」に変わります

土産物店や工芸品店で、外国人客に免税対応をしている——あるいは、これから始めようか迷っている個人店オーナーへ。2026年11月1日から、日本の免税のしくみが大きく変わります。

これまでは、会計のときにパスポートを見せてもらえば、その場で消費税を引いて売る方式でした。2026年11月1日の販売分からは、税込価格で売り、お客さんが出国するとき税関で持ち出しが確認されたあとに、消費税相当額を返す「リファンド方式」に移行します。売り方そのものが変わるため、小さな店ほど「自店に免税は要るのか」「何を準備すればいいのか」を、いま一度整理しておく価値があります。

免税という言葉の意味そのもの(消費税を負担せずに買える制度)は用語集の「免税」に1行でまとめてあります。この記事は、その先——制度変更で何が変わるか、自店に免税が要るかの判断、そして観光客に「免税できる」と伝える表示を扱います。

今すぐの1分タスク

読み進める前に、これだけやってください。

紙に1行だけ書く。「自店で、外国人のお客さん1人あたりの買い物が、税抜5,000円に届くことがどれくらいあるか」。よくある/たまにある/ほぼない、のどれかで十分です。

この1行が、このあとの「自店に免税が要るか」の判断材料になります。届く買い物がほぼない店なら、無理に免税対応を急ぐ必要はありません。

なぜ今この話をするのか(30秒で)

理由は、施行が2026年11月1日に決まっているからです。準備には時間がかかります。

リファンド方式への見直しは、2025年3月に法律として成立しました。背景には、免税で買った品物が国内で転売されるといった不正への対応があります。出国時に「確かに国外へ持ち出した」と税関が確認してから返金する形にすることで、制度の適正化をはかる狙いです(観光庁・国税庁)。

小さな店にとって関係するのは2点です。1つはレジでの売り方と返金の運用が変わること、もう1つは観光客に何をどう見せるかが変わること。この2つを順に見ていきます。

何が変わるのか:リファンド方式の3つのポイント

新しい方式の要点は3つです。

1. 税込で売って、あとで返す(税関確認のあと)

これまでは会計時に消費税を引いて売っていましたが、2026年11月からは税込価格で売ります。そのうえで、お客さんが出国時に税関で持ち出しを確認されたあと、店(または委託先)が消費税相当額を返金します(観光庁)。

つまり、お客さんはいったん消費税を払い、出国の手続きを経てから返ってくる、という流れになります。

2. 区分・上限・特殊包装が撤廃され、税抜5,000円に一本化される

ここは、むしろ簡素になる部分です。これまで「一般物品」と「消耗品(食品・化粧品など)」で分かれていた扱いが、2026年11月から一本化されます

  • 一般物品と消耗品の区分が撤廃され、判定は税抜価格でまとめて行う
  • 消耗品にあった1日50万円の上限が撤廃される
  • 消耗品の特殊な包装(開封防止の袋詰めなど)が不要になる
  • 対象は税抜5,000円以上に統一される

化粧品やお菓子のような消耗品を扱う店ほど、包装や上限チェックの手間が減る変更です(国税庁・全国免税店協会)。

3. 返金は「承認送信事業者」に委託するのが現実的

返金そのものを、店が単独で担うのは現実には重い作業です。返金に伴うお金のやりとりや本人確認、コンプライアンス対応が必要になるためです。

そのため、承認送信事業者や外部のリファンド事業者に返金対応を委託する形が前提になります(全国免税店協会)。すでに免税システムを使っている店は、まず利用中の事業者に「新方式にどう対応するか」を確認するのが最初の一手です。

そもそも自店に免税は要るか:3つの判断材料

すべての店が免税をやるべき、というわけではありません。1分タスクで書いた1行をもとに、3つの材料で考えます。

  1. 客単価が税抜5,000円に届くか。届く買い物がほぼない店では、免税の手間に見合いにくいのが実情です。
  2. 「持ち帰る物販」が中心か。免税の対象は、お客さんが国外へ持ち帰る品物です。飲食や体験そのもの(その場で消費するもの)は基本的に対象外です。土産・工芸・化粧品・茶葉などを売る店ほど検討の価値があります。
  3. 許可と体制整備の負担に見合うか。免税販売には引き続き輸出物品販売場の許可が必要で、2026年11月以降は税関確認情報を適正に扱える体制も許可の条件に加わります。

この3つを踏まえた「要否」の考え方はインバウンド用語集の免税の項にも短くまとめてあります。本記事は、要ると判断したあとに観光客へどう見せるかを次で扱います。

観光客に「免税できる」と伝える3つの表示

免税対応をしていても、観光客に伝わっていなければ選ばれません。難しい掲示は要りません。出すべきは3つです。

① 店頭・入口に「Tax-Free」の一言を出す

まずは、店の外から「ここは免税できる」と一目で分かるようにします。入口やレジまわりに「Tax-Free」のステッカーや札を1枚。日本語が読めない観光客は、この英語の一言を手がかりに店を選びます。

例:入口ドアに「Tax-Free Shop」、レジ横に「Tax-Free Available(Passport required)」の小さな札。

② Googleマップ・店舗情報に免税対応を1行で明記する

観光客は来店前に、Googleマップで「ここで買えるか・持って帰れるか」を確かめます。店舗情報の説明文や属性に、免税対応を1行で入れておきます

商品そのものの見せ方(英語の商品名・価格・「持ち帰れるか」の書き方)は銘菓・名産をGoogleマップで外国人客に届ける書き方に整理してあります。本記事で足すのは、その情報に「免税対応」の1行を重ねるところです。

③ 手続きの条件を、先に見せておく

レジ前で初めて条件を知ると、お客さんも店員も困ります。だから条件を先に出しておきます

  • 税抜5,000円以上から
  • パスポートが必要
  • 出国90日以内に持ち出すこと
  • 返金の受け取り方(その場ではなく、出国時の確認後になる旨)

特に2026年11月以降は「その場で引くのではなく、あとで返る」流れに変わります。ここを先に伝えておくと、会計時の「思っていたのと違う」や、それによる星1の口コミを防げます

業種別チェック

免税対応を考えるとき、まず手をつける順を業種ごとに整理します。

物販・お土産店:①店頭のTax-Free表示 → ③条件の事前掲示 → ②Googleマップへの1行。会計が短時間で終わる業種ほど、条件を先に出しておくとレジ前が詰まりません。

工芸・クラフト・刃物などの専門店:客単価が5,000円に届きやすく、免税の相性がよい業種です。①Tax-Free表示と、海外発送ではなく「持ち帰り」前提の案内を先に。高額品ほど、返金の受け取り方を丁寧に出しておきます。

化粧品・ドラッグ系:2026年11月から消耗品の特殊包装と50万円上限が撤廃されるため、運用が軽くなる業種です。区分がなくなる点を、レジ担当に共有しておきます。

茶葉店・和菓子店:食品は消耗品扱いでしたが、新方式では区分がなくなります。Googleマップでの見せ方は茶葉店・和菓子店のGoogleマップ整備とあわせて、免税の1行を足します。

飲食店・体験施設:その場で食べる・体験するものは基本的に免税の対象外です。物販コーナー(持ち帰りの土産・物販)がある場合に限り、その商品が対象になります。

やってはいけないこと

最後に、免税まわりで事故になりやすい3つを整理します。

  1. 免税を「値引き」と混同して安売りする。免税は消費税分の取り扱いの話で、店が利益を削る値引きではありません。「免税だから安い」という打ち出しは、利益を圧迫するだけでなく誤解も招きます。
  2. 許可がないのに「免税できます」と表示する。免税販売には輸出物品販売場の許可が必要です。許可なく表示すると、お客さんとのトラブルの原因になります。
  3. 2026年11月以降の「税込で売る」流れを、レジや掲示に反映しないまま当日を迎える。売り方が変わるため、レジの設定や店頭の案内を更新していないと、現場が混乱します。施行前に、利用中の免税システム事業者に確認しておきます。

続けるコツ

続けるコツは、免税の条件や営業の情報を「1回書けば各所に届く」状態にしておくことです。

「Tax-Free対応」「2026年11月から税込販売に変わります」「最低5,000円から」といった案内を、Googleマップ・Instagram・店頭・LINEへ1か所ずつ手で書き直すのは、忙しい現場では手が回りません。1通書けば複数の掲載先へまとめて多言語で届く形にしておくと、制度変更のような「全部に同じことを反映したい」場面で取りこぼしが減ります。

Kokoponは、LINEに1通送るだけで、その内容をGoogleマップ・Instagram・LINE公式アカウントへまとめて多言語で配信できる、観光客向け個人店のためのコーチ型ツールを開発しています。免税の案内や営業情報を1か所ずつ書き直さずに回せる形を目指していて、使い始めた店では、情報の更新が途切れにくくなったという声も見えています。詳しくはトップページからご覧ください。

今週試すこと

読み終わったら、今週中に1つだけ動かしてください。

  • 1分タスクの1行をもとに、自店に免税が「要る/当面は不要」をいったん判断する
  • 免税を続けるなら、利用中の免税システム事業者に「2026年11月のリファンド方式にどう対応するか」を問い合わせる
  • 観光客に伝える3つの表示(店頭Tax-Free/Googleマップの1行/条件の事前掲示)のうち、1つだけ着手する

3つできたら、業種別チェックの自店の順に沿って、残りも11月の施行前に1つずつ整えていきます。

参考

よくある質問

免税は2026年11月から具体的に何が変わりますか?
売り方が変わります。今までは会計時にその場で消費税を引いて売っていましたが、2026年11月1日からは税込価格で売り、出国時に税関で持ち出しが確認されたあとに消費税相当額を返す「リファンド方式」になります。あわせて一般物品と消耗品の区分や消耗品の50万円上限、特殊包装が撤廃されます。
いつまでに準備すればいいですか?
2026年11月1日の販売分から新方式です。返金対応や購入記録・税関確認情報のやりとりに対応する必要があるため、まずは利用中の免税システム事業者(承認送信事業者)に連絡し、施行の数か月前までに自店のレジ・運用が新方式に対応しているか確認しておくのが現実的です。
小さな個人店が免税を続ける負担は重くなりますか?
返金に伴う資金のやりとりや本人確認を店が単独で担うのは現実的にハードルが高く、承認送信事業者や外部のリファンド事業者に委託する形が前提になります。一方で、消耗品の特殊包装や50万円上限のチェックは不要になり、区分判定が簡素になる面もあります。
免税の最低購入金額はいくらですか?
税抜5,000円以上です。これまで一般物品と消耗品で分かれていた金額要件が、税抜5,000円以上に一本化される見込みです。判定は税抜価格で行い、用途による区分はなくなります。上限額(消耗品の1日50万円)は撤廃されます。
免税をやるのに税務署の許可は必要ですか?
必要です。免税販売をするには引き続き輸出物品販売場の許可が要ります。2026年11月以降は、免税販売手続や購入記録情報の提供、税関確認情報の受領を適正に行える体制が整っていることが、新たな許可の条件に加わります。
観光客に免税できることをどう伝えればいいですか?
店頭や入口に「Tax-Free」の一言を出し、Googleマップや店舗情報にも免税対応を1行で明記します。あわせて「税抜5,000円以上から」「パスポートが必要」「出国90日以内」「返金の受け取り方」といった条件を先に見せておくと、レジ前で説明に詰まる場面や料金の誤解を減らせます。

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