体験予約の事前ヒアリング:料理教室・茶道・酒蔵見学が当日トラブルを減らす5つの質問項目(外国人客向け)

集合場所は整えたのに、当日「正座できない」「アレルギーがあった」で慌てたことは
料理教室・茶道体験・酒蔵見学・工芸ワークショップを1〜2名で運営しているオーナーさんから、こんな声をよく聞きます。「地図も入口写真も整えて、無事にたどり着いてもらえた。でも、いざ始めようとしたら『床に座れない』『この食材は食べられない』『予約は2名だけど実際は4名で来た』——その場で慌てた」。
集合場所が見つからない問題は、別の記事で整理しています(体験予約のNo.1キャンセル理由は「集合場所が見つからない」)。この記事はその続きの問題——無事に来てもらえた後の「来たけど条件が噛み合わない」を、予約時の質問で先回りして防ぐ話です。
結論から言うと、予約時に聞いておく質問を5つに絞るだけで、当日のあわてる場面はかなり減らせます。
今すぐの1分タスク
読み終える前に、まずこれを確認してください。
今使っている予約フォームを開いて、いま聞いている質問の数を数える。「名前・人数・日時」しか聞いていなければ、当日のトラブルは”質問の数”で決まっている状態です。
集合場所の案内は「お客さんに送る情報」ですが、事前ヒアリングは「お客さんから集める情報」です。向きが逆なので、地図を整えただけではこちら側は埋まりません。
なぜ事前ヒアリングが当日トラブルを減らすか(30秒で)
体験の当日に起きるトラブルは、大きく2種類あります。
- 「来られない」系:場所が見つからない・遅刻する → 地図・写真・リマインドで防ぐ(前述の記事の領域)
- 「来たけど噛み合わない」系:座れない・食べられない・人数が違う・言葉が通じない → 予約時の質問で防ぐ(この記事の領域)
特に個人で予約してくる海外のお客さん(FIT)は、団体ツアーのように添乗員がまとめて条件を伝えてくれません。一人ひとりが自分の事情を持って、直接予約してきます。だからこそ、予約フォームで聞いておく一手間が効きます。
当日あわてる場面は、ほぼこの4つに集約されます。
- 身体条件:正座ができない・包丁に慣れていない
- 食事制限:アレルギー・宗教上やベジタリアンの理由で食べられない食材
- 人数:予約時と当日で人数が変わる
- 言語・年齢:説明が通じる言語・酒蔵などの年齢確認
必須は5項目まで:聞きすぎると予約が落ちる
事前ヒアリングは「多く聞くほど良い」ものではありません。質問が多いほど、予約の途中で離脱するお客さんが増えます。準備に本当に効く質問だけを5つに絞るのが現実的です。
予約フォームに足す5項目(骨組み)
- 当日の実際の参加人数(Actual number of participants)
- 食事制限・アレルギー(Allergies / dietary restrictions)
- 身体条件(業態別:正座可否・包丁経験など)
- 主に使う言語(Main language)
- 年齢確認(必要な業態のみ:全員20歳以上か)
この5つ以外を聞きたくなったら、それは「予約後のメッセージで聞くこと」に回せないかを先に考えてください。
「予約フォームの項目」と「予約後に聞くこと」を分ける
すべてを予約フォームに詰め込む必要はありません。
- 予約フォームで聞く:人数・アレルギー・身体条件など、準備や安全に直結するもの
- 予約後のメッセージで聞く:細かい味の好み・記念写真の希望など、後からでも間に合うもの
予約後にいつ・何通メッセージを送るか(リマインドのタイミング)は前述の集合場所の記事で扱っています。この記事が担当するのは「何を聞くか」であって「いつ送るか」ではありません。
アレルギー・食事制限を「チェック+自由記述」で集める
食事を出す体験(料理教室・酒蔵の試飲・お茶とお菓子)では、アレルギー確認が一番大事な質問です。聞き方はチェックボックスと自由記述の二段にすると、読み落としが減ります。
Allergies / Dietary restrictions(あてはまるものすべて / Check all that apply) ☐ Wheat(小麦) ☐ Egg(卵) ☐ Milk(乳) ☐ Peanut(落花生) ☐ Shrimp(えび) ☐ Crab(かに) ☐ Buckwheat(そば) ☐ Walnut(くるみ) ☐ Vegetarian / Vegan Other (free text): ________________
チェック欄は、日本の食品表示で定められた特定原材料8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)を出発点にすると漏れにくくなります。くるみは2025年4月から表示義務の対象に加わった品目です(消費者庁・食品表示)。
なお、外食・体験事業に法的なアレルゲン表示義務はありませんが、聞かれたら誠実に答える責任は残ります。当日その場で英語で聞かれた時の答え方は飲食店アレルギー対応の英語:特定原材料8品目の表記+外国人客への返答スクリプトにまとめています。この記事は「予約時に書面で集める」側、あちらは「その場で口頭で答える」側です。
業態別に足す1〜2問(料理教室・茶道・酒蔵見学・工芸)
身体・参加条件は、業態によって聞くべきことが変わります。自店に当てはまるものを1〜2問だけ足してください。送る案内ではなく、お客さんに答えてもらう質問として置くのがポイントです。
料理教室
- 包丁の使用に不安があるか(Are you comfortable using a kitchen knife?)
- 火を使う調理への不安・お子さま連れの有無
- エプロンの貸出が必要か
茶道・着物体験
- 正座が可能か/椅子が必要か(Can you sit on the floor (seiza)? / Do you need a chair?)
- 着物体験の場合は身長・サイズの目安(用意するサイズの判断に使う)
工芸ワークショップ
- 完成品の持ち帰り希望か、後日郵送が必要か(乾燥が必要な作品など)
- 所要時間の許容(次の予定までの余裕)
酒蔵見学
- 全員20歳以上か(試飲を含む場合)
- 当日車を運転するか(試飲提供の可否判断)
Sake tasting is included. / 試飲があります。 Is everyone in your group 20 or older? (全員20歳以上ですか) ☐ Yes ☐ No Will anyone be driving today? (当日運転される方はいますか) ☐ Yes ☐ No
日本では飲酒は20歳からと法律で決まっています(国税庁・酒類関係)。未成年が含まれる場合の過ごし方を先に決めておくと、当日の判断に迷いません。
人数変更と言語の2問は全業態で固定
業態にかかわらず、この2問はどの体験事業でも入れておく価値があります。
・Actual number of participants today(当日の実際の参加人数): ____ ・Main language you’ll use(主に使う言語): ☐ English ☐ 中文 ☐ Other: ____
人数は、予約時と当日でずれることが観光客の予約では珍しくありません。材料・席・キャンセル枠に直接効くので、固定項目にしておきます。言語は、当日どの言語で説明を準備するかの判断材料になります。英語が苦手でも、相手の主言語が分かっていれば翻訳アプリの準備ができます(英語が話せないオーナーの翻訳アプリ活用)。
なお、OTA(Airbnb・GetYourGuideなど)経由の予約では、こちらの独自質問が相手に届かないことがあります。その場合は予約確定後のメッセージで同じ5項目を改めて聞く形にすると漏れません。
回答を当日朝に1か所で見る運用
質問を足しても、回答を誰も見なければ意味がありません。聞いた情報が散らからない集約先を1つ決めてください。
- フォーム回答をスプレッドシートに自動でためる、あるいはLINEに通知が来るようにする
- 当日の仕込み・準備の前に、その1か所を必ず開く習慣をつける
- 回答が来ていない予約には、前日のメッセージでもう一度お願いする
事前に条件が分かっている日ほど、当日の進行が落ち着いて回りやすくなります。
やってはいけないこと
体験事業の事前ヒアリングでよく見るつまずきを挙げます。
- 質問を10個並べて予約を落とす。多ければ良いわけではなく、離脱が増える。必須は5つまで
- アレルギーを自由記述だけにして読み落とす。チェックボックスと併用しないと、当日まで気づかないことがある
- 日本語だけのフォームにする。外国人のお客さんが答えられず、結局ヒアリングが成立しない。英語ラベルを併記する
- 集めた回答を当日まで誰も見ない。聞いただけで準備に反映しなければ、トラブルは防げない
- キャンセル規約の同意だけ細かく取る。お客さんが知りたいのは規約より「自分が参加できるか」。肝心の身体・食事条件を聞き忘れない
続けるコツ:メニューを足したら質問も見直す
事前ヒアリングは、一度作って終わりではありません。新しい体験メニューを足したときに、その業態に必要な質問が1問増えていないかを見直す——これだけで十分です。
LINEで予約者とやりとりしているお店では、事前ヒアリングの回答も同じLINEの流れに乗せやすくなります。Kokoponは、LINEで撮った1枚の写真や1通のメッセージから、Googleマップ・Instagram・LINE公式アカウントへの発信を自動翻訳付きでまとめるツールです。1〜2名で運営している体験事業でも、週30分の運用が回るよう設計しています。詳しくはトップページからご覧ください。
今週試すこと
時間が限られている運営向けに、今週から動かせる3つを挙げます。
- 予約フォームに、食事制限(アレルギー)のチェック欄を1つ追加する
- 自店の業態に当たる身体・年齢の質問(正座可否・包丁経験・20歳以上など)を1問追加する
- 集めた回答を仕込み前に見る集約先(スプレッドシート・LINEなど)を1か所決める
この3つを動かすと、来週以降の予約客で「当日来たけど条件が噛み合わない」場面が減りやすくなります。
参考
よくある質問
- 体験予約のフォームで外国人客に何を聞けばいいですか?
- 当日の進行に直結する5項目に絞るのが現実的です。食事制限(アレルギー)・身体条件(正座や包丁などの可否)・実際の参加人数・主に使う言語・年齢確認(酒蔵など必要な業態のみ)の5つです。名前と日時しか聞いていないフォームは、当日になって条件が噛み合わないトラブルが起きやすくなります。
- 料理教室の予約でアレルギーはどう確認すればいい?
- チェックボックスと自由記述の二段で聞くのが読み落としを減らすコツです。よくあるアレルゲン(小麦・卵・乳・落花生・えび・かに・そば・くるみの特定原材料8品目)を英語ラベル付きのチェック欄にして、最後に「Other (free text)」を1つ置きます。回答は当日の仕込み前に必ず開く運用とセットにしてください。
- 茶道体験で正座できない人にはどう事前に聞けばいい?
- 予約フォームに「Can you sit on the floor (seiza)? / Do you need a chair?」の1問を足すのが簡単です。海外からのお客さんは正座の習慣がないことが多く、当日になって長時間座れないと分かると体験そのものが続けられません。椅子の用意が必要かを事前に把握できると、当日あわてずに済みます。
- 酒蔵見学で年齢確認は予約時にすべきですか?
- 試飲を含む酒蔵見学では、予約時に「全員20歳以上か」を確認しておくと安心です。日本の法律では飲酒は20歳以上で、未成年が含まれる場合は試飲の提供可否や代わりの過ごし方を事前に決めておく必要があります。あわせて「当日車を運転するか」も聞いておくと、試飲を出すかどうかの判断ができます。
- 予約後に人数が増減した時のために何を聞いておけばいい?
- 「当日の実際の参加人数」を予約フォームの固定項目にしておくのが有効です。予約時の人数と当日の人数がずれることは観光客の予約では珍しくなく、材料の準備・席・キャンセル枠に直接影響します。前日のメッセージでもう一度確認すると、直前の増減を拾いやすくなります。
- 予約フォームの質問を増やすと予約は減りますか?
- 質問が多すぎると途中離脱が起きやすくなるため、必須項目は5つまでに絞るのが現実的です。当日の進行に本当に効く質問だけを残し、細かい希望は予約後のメッセージで聞く形に分けると、離脱を抑えながら必要な情報を集められます。






